ナーナクリ高校と中学のロボティクス(ロボット工学)研究室は、外からはごく普通の教室にしか見えない。だが、ひとたび中に足を踏み入れれば、次の競技の準備に取り組む生徒たちの熱気で沸いている。ホワイトボードには複雑なメモがぎっしり書き込まれ、ありとあらゆるロボットのパーツが棚を埋める。努力がいずれ報われることを忘れないように、数々のトロフィーが誇らしげに飾られている。
放課後のロボティクス活動は科学(science)、テクノロジー(technology)、工学(Engineering)、数学(mathematics)、つまりSTEMの4つの要素すべてを盛り込んだ集中プログラムだ。米国海軍をマスターチーフとして退役し、エンジニアリングの教師となったリチャード・エンライトさんが16年前に発足させた。以来、ロボティクスを通して何十人もの生徒に不屈の精神、柔軟な考え方、創意工夫といった人生を歩んでいく上で大切な力をつけてきた。
そんな生徒の一人が11年生(高校2年生)のエリカ・ファルジェンシオさん。グループで意見を出し合いながら独創的なアイデアやデザインを生み出すことに魅力を感じて7年生(中学1年生)の時にプログラムに加わった。「ロボティクスには、人として成長できる要素がたくさんあると思います」と、ファルジェンシオさん。「問題を解決する力や検証的な考え方を身につけられるし、自分の独創性を思う存分生かせるんです」
ロボティクスのプログラムを通じて学ぶもっとも大切な教訓は、失敗は起きる時には起きるものだと受け入れることだろう。実際に失敗したとき、エンライトさんのチームは挫折を成長の機会と受け止め、気を取り直して再挑戦する。この考え方と独創的な発想を忘れなければ、ロボティクス研究室のなかにかぎらず、生きていく上で困難にぶつかったとき、生徒たちはきっと画期的な解決策を見つけられるはずだ。
エンライトさんの指揮のもと、チームはアイオワ州カウンシルブラフスで開催されたVEXロボティックス全国選手権やテキサス州ダラスで開催されたVEXロボティックス世界選手権など、これまで数々の競技大会に出場してきた。旅費や宿泊費など費用はかさむが、それまでハワイの外に出る機会に恵まれなかった生徒たちにとって、こうした遠征の旅が人生を変える経験になるとエンライトさんは信じている。海を渡って競技大会に出場してこそ、世界各国からやってくる相手チームの選手たちと顔を合わせ、旅先ならではの文化交流を体験できるのだ。
現在、プログラムは企業の後援や募金活動、寄付で活動資金をまかなっている。生徒たちのロボティクスへの関心が高まるなか、エンライトさんは、フットボールやサッカーといった従来の学校スポーツと同じように、ロボティクスチームに参加する生徒に対しても州が資金を援助してくれることを期待している。「チームは毎年、進化しています。プログラムを通して、彼らが成功して幸せに暮らしていくために欠かせないものを築いているんです。いわゆるスポーツではありませんが、ロボティクスはすばらしいですよ。いわば頭脳のスポーツなんです」
ゴールデン・ホークス・ロボティクスについての詳細は、nanakuliroboticsclub.comで